宇都宮政志さんの無農薬・無施肥栽培のお米。

Harvest 稲刈り
-
コシヒカリの稲刈り
-
ヒノヒカリの稲刈り
10月22日、大変だったヒノヒカリの稲刈り。
10月22日、午後2時。昼前に電話した際に「まさに今から刈るとこだよ」っとおっしゃっておりましたので、もしかしたらもう刈り終わったかな、いや、2条刈りだからまだ残ってるだと、などと思いながら宇都宮さんのヒノヒカリの田んぼへ到着すると……あれ、まだ周り2周分しか刈ってないぞ。
しかし田んぼの中に放置されているコンバインを見て、すぐに察しました。「はは〜ん、壊れたな」
「キャタピラーのゴムが切れたんよ」近所の方から刈りてきたコンバインで刈り取りを行う宇都宮さんはいきなりのトラブルにお疲れの様子。「キャタピラーのゴムって1本8万円するらしいんだけど、あのコンバイン、中古で5万で買ってきたのよね……」あら、それは修理すると損するパターンですね。これは「移動できないハーベスタ」として余生を送るしかなさそうです。でもよく考えたら、移動できないハーベスタって何の役にも立ちませんね。
お借りしてきたコンバインでなんとかヒノヒカリの刈り取りを行う宇都宮さん。今年はどこも収量が上がりませんが、ここのヒノヒカリは結構良さそうですね。
なお、この宇都宮さんのヒノヒカリの稲刈りですが、後日笠野さん(当店が稲刈りや乾燥・籾摺りをお願いしている農家さん)にお聞きしたところ、私が帰ったあとに借りてきたコンバインも壊れたそうで、結局笠野さんが刈りにいったとのことでした。
というわけで、最後までトラブルに見舞われて大変だった、宇都宮さんの無農薬・無施肥栽培のヒノヒカリです。
※ちなみに収量はこれまでで最高だったそうです。

-
こちらも毎年おなじみ、宇都宮さんの「上の田んぼ」。こちらの田んぼは昨年と同じくヒノヒカリを作付けしている。
-
圃場が柔らかいためか、ヒノヒカリなのにやや斜めってる。たまに刈り取り部に詰まってしまうので手で送り込む。
-
お借りしたコンバインも籾袋に入れる方式なので籾は担いで運ぶ。しかし結局笠野さんに刈ってもらったそうだ。

Weeding 除草
ヒエ、ヒエ、ヒエ〜ッ!!
これが耕作放棄地だった田んぼの雑草の凄さ!
宇都宮さんは今年、新たに田んぼを借りまして、そこにササニシキを植えました。本日、その田んぼで手除草を行っていると聞いて行ってみましたところ……な、なんというヒエの数!!宇都宮さん、これは一体!?
「実はここは長年何にも栽培されていなかった、いわゆる”耕作放棄地”だったんですよ」
はーん、そういうことですね。実は当店も昨年、5年ぐらい何も作っていなかった耕作放棄地でお米を作ったんですけど、もうとにかくヒエが多すぎて、結果的に取りきれずに草ボーボーになっちゃったんですよね。耕作放棄地は誰も耕さないので当然毎年雑草ができてはその種が落ちる、を繰り返しているため、もう田んぼの中に雑草の種が山ほどある状態になっているんです。宇都宮さんに聞くと、ここはもう15〜20年ほどは何も作っていないらしく、どうやら相当なヒエの種が埋没しているようです。
最強の助っ人登場!
しかしあまりのヒエの多さに絶句。
10m除草するのに1時間かかるということで、とても宇都宮さんと奥さんでは取りきれない量。ここで助っ人の登場です。やってきたのはご存知、高島和子さん。しかし宇都宮さんのこの田んぼを見た瞬間「う、うわ〜……」あまりのヒエっぷりに絶句しておりました。
とはいえ、とにかくヒエを抜かないと話にならないので、宇都宮さん、高島さん、そして私と3人がかりでヒエを抜いていきます。
高島さんもこれまで相当ヒエに苦労してきたらしく、いろいろな思い出話をしてくださいました。「20年前くらい、無農薬を始め立ての頃はそれはもうヒエだらけになっちゃってね。その時はこんなもんじゃなかったよ。もう朝から晩までずーっと草を取ってね」ふと見ると、草を抜きすぎて手首を痛めた経験からか、高島さんは手首にガムテープを巻いて固定し、負担がかからないようにしておりました。
耕作放棄歴20年ということは農薬や化学肥料、いや、有機肥料でさえも20年間も一切使用していないということなので、土の肥沃さは確かなもの。ヒエの多さの割りに稲もかなり分けつしてますしね。これは美味しいササニシキができそうです。


-
抜いたヒエは田の中に置いておくと再活着してまた生えてくるので、抜いたそばから田の外に放り投げる。
-
除草をお手伝いする高島さん。カリスマ農家はさすがに除草の速度が早い。脇目も振らずどんどんヒエを抜いていく。
-
小一時間でこれだけのヒエが取れた。しかしこれはまだまだほんの一部。宇都宮さんの除草はしばらく続きそうだ。

Planting 田植え
5月25日、常用田植え機で田植え。
宇都宮さんは例年、歩行式の田植え機で田植えを行っていたのですが、歩行式は大変な上に植え付けラインが歪みやすく除草の時に機械で踏み倒すことが多くなりますため、今年度はお借りしてきた常用田植え機で田植えをすることになりました。
「いや〜、歩行式より楽だけど、これはこれで難しいですね」
初めての常用式に四苦八苦しながらも、奥さんと二人でなんとか田植えを進めていく宇都宮さん。でも機械の設定を誤ったためか欠株が多く、この後ずいぶん手で植えつぎしたそうです。
-
水中につけられたラインを見ながら慎重に田植えする宇都宮さん。常用であっても真っ直ぐ植えるのは難しいのだ。
-
宇都宮さんちのすぐ近くにある4枚の田んぼは棚田になっているため、一番下の田んぼから順番に田植えしていく。
-
奥さんの役目は苗渡しと、田植え機通過後の土均し。二人いれば止まることなくスムーズに作業が進む。

Seedling 育苗
折衷苗代育苗で行う、健苗作り。
4月。農薬を使用しないお米作りは、まず種籾の「温湯消毒」から始まります。喜多ライスセンターにある専用の機械で60℃のお湯にきっかり10分浸し、種籾内の雑菌を消毒します。
お次は種まき。床土を敷いた苗箱に手動の種まき器で種籾をまき、上から土をかぶせます。準備ができた苗箱はすぐに田んぼの一角に作った苗代に並べ、不織布をベタ掛けし、芽出しから田植えまで田んぼで苗を育てます。
5月初旬。苗の様子はどんな感じでしょうか。「ちょっと苗代の幅がギリギリすぎて端の発芽がイマイチなんですけど、おおむね良好ですよ」
いい苗ができそうで、今から田植えが楽しみなようです。
-
専用のこの機械は60℃の温度をきっちり保ち、なおかつ設定した時間になるとブザーで知らせてくれる優れもの。
-
家のすぐ近くの作業場で種まきを行う宇都宮さん。種まきした苗箱はすぐに苗代に移動し、平置きで出芽させる。
-
5月6日、保温と保湿目的の不織布「ラブシート」を剥いでみると、きれいと芽が生えそろっていた。
生産情報
-
生産者
宇都宮政志
-
生産地
熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽
-
品種
コシヒカリ、ヒノヒカリ、ササニシキ
-
農薬の使用
なし
-
肥料の使用
なし
-
除草方法
除草機、手除草
-
種籾の消毒
温湯消毒を実施
-
種籾の入手
自家採種
-
栽培の履歴
田植え … 2015年5月25日
稲刈り …
コシヒカリ / 2015年9月22日
ヒノヒカリ / 2015年10月22日