Seiichi Akagi
2019赤城誓一さん 令和元年度産商品ページ

赤城誓一さんが作る、無農薬・無施肥の自然栽培米

令和元年度産、熊本山都産。赤城誓一さんが作る、自然栽培の掛け干し米。

この商品の生産情報

赤城誓一

生産者

赤城誓一

品種

ササニシキ、イセヒカリ

生産地

熊本県上益城郡山都町

農薬の使用

使用なし

肥料の使用

使用なし

農薬不使用の年数

2年目

肥料不使用の年数

2年目

乾燥方法

掛け干し(自然乾燥)

「上益城郡山都町」とは

阿蘇地域のお隣に位置する「山都町」。阿蘇山の周囲を囲う外輪山の山中にあるこの町は、2005年に2町1村が合併して誕生しましたが、その合併前の町の一つに「阿蘇郡蘇陽町」がありました。つまり、山都町は一部は阿蘇地域でありますので、今回、基本的に阿蘇地域のお米だけを販売する当店でも、この山都町で農業を営む赤城誓一さんのお米を取り扱うこととなりました。

赤城誓一さんの米つくり

赤城誓一さんは元々は熊本市内で農業を行っておりましたが、「よりよい米作りを求めると、よりよい水を求めることになった」そうで、2年前より山都町に移り住み、新天地で新たに米作りを始められました。現在は山間部特有のせまい田んぼながら、合計で1haと30aほどの面積で米作りを行っております。以前は熊本のプロバスケットチームである「ヴォルターズ」の音響の仕事をやりながら米作りを行っておりましたが、現在は農業一本で頑張っておられます。

途中、当店でにお米を販売している生産者の大森博さんと知り合い、お互いの米作りを手伝いあっており、その大森さんのご紹介で当店でお米を販売させていただくことになりました。

育苗と田植え

昔ながらの苗代育苗

赤城さんは農薬や肥料を一切使用しない、いわゆる「自然栽培」で米作りを行っておりますが、育苗も田んぼの一角で苗を育てる「苗代」で行います。
種まきした苗箱を苗代に並べ、保温・保湿、鳥害防止のための不織布をベタ掛けします。苗がある程度育ったら織布を剥がし、そのまま田植えまで育てます。赤城さんの田んぼは全て深い山中にあるため、イノシシが頻繁に田んぼにやってきます。そのため、苗代の時点でイノシシ対策のための電柵を張る必要があります。

田植え

田植えは4条植えの小型の田植え機で行います。山都町は多くの山間部と同様に、一枚の田んぼが数アールと極めて狭い田んぼが多く、そのため、田植え機や収穫のコンバインも小型で小回りが効くタイプのものが重宝されます。

予め土を入れた苗箱に種まき器で籾をまいていく 予め土を入れた苗箱に種まき器で籾をまいていく

田んぼに作った苗代に苗箱を並べて不織布をかぶせる 田んぼに作った苗代に苗箱を並べて不織布をかぶせる

田植え直前の苗。しっかり育っている 田植え直前の苗。しっかり育っている

小回りのきく田植え機を使い田植えを行う 小回りのきく田植え機を使い田植えを行う

除草作業

米の無農薬栽培のキモである除草作業。赤城さんは塩ビパイプにチェーンを垂らした自作の「チェーン除草機」を作成しております。田植えして数日後にこのチェーン除草機を引っ張ることにより、チェーンが土の表面を撹拌し、芽生えたばかりの雑草や吸水して発芽寸前となった種を浮力で水に浮かせて除草します。

ある程度雑草が育ったらチェーン除草は効かなくなりますので、その後は動力式の除草機を使用します。もちろん最後は「手除草」、つまり人力で一本一本草を抜いてまわります。上質な農業用水を求めて移り住んだだけあって、ほぼすべての農業用水を湧き水で賄う山都町の水は新鮮そのもので、美味しい米作りに大きく貢献してくれる一方で、川や湖の用水と違い、水量はどうしても限られるため、雑草を抑えるコツである「水深を深く保つ」という農法は難しくなります。あっちを立てればこちらが立たず。やはり農薬を全く使用しない米作りというのは一筋縄ではいきませんね。

だらりと垂れるチェーンが土の表面を撹拌する だらりと垂れるチェーンが土の表面を撹拌する

ある程度雑草が根付いたら動力除草機を使用する ある程度雑草が根付いたら動力除草機を使用する

夏の田んぼの様子

少しずつたくましくなってきた苗 少しずつたくましくなってきた稲

地面が見えなくなるほど茎が増え太くなった 地面が見えなくなるほど茎が増え太くなった

稲刈り

掛け干しとは

赤城さんは「掛け干し」で米の乾燥を行っております。お米は収穫後、水分量15%程度まで乾燥させる必要がありますが、一般的には穀物乾燥機に入れて温風や遠赤外線で乾燥します。しかし定説では「お米は炊くまではなるべく温度を上げない」ことが美味しい米の秘訣であるとされており、そのため、特にこだわりの強い一部の農家は、乾燥機を使用せずに天日だけで米を自然乾燥させる「掛け干し(他地域では"はざ掛け"とも呼ぶ)」という方法で乾燥します。

乾燥機などなかった昔は、日本全国どこでも掛け干しでお米を乾燥させていましたが、農業の近代化とともに乾燥機が普及し、現在では掛け干しをする農家はほんの一握りです。有機農家ですらシェアは1%程度と言われておりますから、その有機農家の中で掛け干しをやっている農家の割合といったら、おそらく0.001%程度ではないでしょうか。

バインダーで稲を刈る赤城さん。

掛け干しの実際

稲の掛け干しですが、まずは「バインダー」という収穫機で稲の刈り取りを行います。このバインダーは稲を刈りながら一定の量を紐でまとめて排出していきますので、そのまとまった稲を洗濯物干しのような出で立ちの「稲干台」にすきまなく掛けていきます。最初は少し緑がかった色をしていた稲が乾燥が進むにつれて茶色になっていきます。数日〜十数日ほど乾燥させて、米の水分量がある程度まで下がったら、脱穀機にかけて籾だけを収穫します。その後の籾摺り、選別、軽量、梱包は通常のお米の工程と一緒です。

つまり掛け干しとは、太陽と風だけの低温で乾燥させることだけを目的に、バインダーで稲を刈り、稲干台に稲を掛け、台が倒れていないか毎日見回りをし、乾燥が終われば改めて脱穀作業を行うという、過酷な作業を行うのです。通常であれば半日程度で終わる、しかも機械が自動的にやってくれる乾燥作業。よほどのこだわりがないとここまでできません。さすがは水を求めて山都町までやってきた赤城さん、といったところでしょう。

稲干台に稲をかける赤城さん。

掛け干し作業

2019年10月8日。この日、赤城さんが最後の稲刈りと掛け干し作業を行うとのことで、山都町へ出発しました。当店のある阿蘇市から赤城さんの田んぼがある山都町入佐までは約1時間弱。阿蘇市から一つ峠を越えて阿蘇郡高森町へ。そこからさらに高森峠を越えて外輪山の中に入り、ひたすら走ります。赤城さんの田んぼは観光名所の「通潤橋」からおよそ2kmの場所にあります。

小学校の目の前にある赤城さんの田んぼへ到着すると、赤城さんに加え、お手伝いの大森さんんと須古さんが作業をされておりました。赤城さんがバインダーで稲を刈り、大森さんんと須古さんが稲を稲干台に掛けております。実はこのアルミ製の稲干台は大森さんのもの。大森さんも掛け干し米を作っておられますが、掛け干し作業が終わった稲干台を赤城さんのところへ持ってきて利用されております。赤城さんと大森さんと須古さんは種まきや田植えや除草、稲刈りを互いに手伝いあったり、機械や稲干台などの貸し借りをしたりして、協力しながら米作りを行っております。

赤城さんの田んぼはここ以外にも10枚以上あるため、途中、別の田んぼに連れて行ってもらいました。さらに山中へ向かい、車を降りて坂を下ると、掛け干し中の田んぼが現れました。ここは数日前に掛け干し作業を行ったため、稲の色はすっかり落ちております。「天気次第ですが、もうそろそろ収穫する予定です」と話す赤城さん。この日は台風19号が接近していたため(結果、東に逸れて熊本に被害はなかった)、風で稲干台が倒れないか心配されておりました。当店も一度だけ掛け干ししたことがあるんですが、風が強いと倒れるので、起こすのが大変なんですよね。当店の使ってて木製と違ってアルミ製の稲干台は踏ん張りがきいてるのでなかなか倒れないものの、それでも台風の強風では全て倒れることもあるとか。稲を台に掛ける作業だけでも大変なのに、天候にも気を使わねばならないのが掛け干しのキツいところであります。

この田んぼの農業用水は湧き水、というより岩と岩の間から滲み出してくる「岩清水」といった模様で、もちろん生活排水や他の田んぼの排水などが混じりようもない、正真正銘の湧き水なのですが、やはり量が少なく、そのため雑草が繁殖し、除草作業がとにかく大変だったそうです。加えて完全な山の中であるため、イノシシの出現が半端なものではなく、電柵などの対策はもちろん、設置後の見回りがとても重要だということです。当店のイノシシに悩まされておりますが、山都町に比べればまだ対策は楽なほうなのかもしれません。

すっかり色の落ちた掛け干し中の稲と赤城さんの後ろ姿。

バインダーで刈った稲は束になって排出される バインダーで刈った稲は束になって排出される

須古さんは稲掛け、大森さんは稲干台を立てている 須古さんは稲掛け、大森さんは稲干台を立てている

稲を根本から半分に分けて詰めながら棒に掛けていく 稲を根本から半分に分けて詰めながら棒に掛けていく

さらに山の中、森に囲まれた田んぼに掛け干しの姿があった さらに山の中、森に囲まれた田んぼに掛け干しの姿があった

山から湧き出る水をパイプを使って田んぼに流す 山から湧き出る水をパイプを使って田んぼに流す

曲がりった形の田んぼに掛け干し。昔ながらの風景だ 曲がりった形の田んぼに掛け干し。昔ながらの風景だ

当店のお米のこだわり

無農薬栽培の米作りの様子

無農薬栽培米のみ取り扱い 当店は農薬や化学肥料を使用せず栽培したお米のみ取り扱いしております。万が一にも慣行栽培のお米が混ざることはありません。

当店のお米の生産者

信頼できる生産者たち 有機農産物は信頼性が第一。当店では阿蘇地域の生産者とだけ取り引きを行い、さらに栽培期間中は各生産者の圃場へ月に2回以上行き、栽培の様子を直に確認しております。

米袋

無料で脱酸素剤パック お米(5kg売り)には脱酸素剤を入れて無酸素状態にすることで、輸送中や保存時におけるお米の酸化や虫の発生による品質低下を防止しています。

精米

ご注文後に精米いたします お米の精米度合は玄米、白米、7分づき、5分づき、3分づきの5種類から無料にてご選択が可能です。

白米、玄米、分づき米

玄米、白米、分づきが選択可能 お米は精米した瞬間から品質低下が始まります。当店では精米をご注文後に行うことで、できるだけ新鮮なお米をお客様の元へお届けいたします。

新着情報

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