高島和子さんの無農薬・無施肥栽培のお米。

Harvest 稲刈り
10月20日にヒノヒカリの稲刈り。
高島さんの今年度の稲刈りもいよいよ最後となりました。本日はヒノヒカリの稲刈りです。いえ、まだ緑米が残っているので正確には最後の稲刈りではないのですが、コンバインで刈るのは最後です。
夕方4時半に稲刈りスタート!……って、もうだいぶ日が傾いてますけど、これ日没までに終わるんですかね。例によって北野悦之さんが全速力で稲を刈っていきます。周囲を2周ほど刈ったところで”これはもう間に合うな”と判断したのか、雅之さんに「ほら刈ってよかよ」とバトンタッチ。残りは雅之さんが刈り取ることになりました。

高島さんはというと、娘の李恵さんが連れてきたお孫さんと休憩中。「今日はお揃いの服よ〜」なんつってましたけど、確かに上のシャツの柄もパンツの色まで一緒ですね。
太陽が俵山の向こうに隠れてしまった頃に稲刈りが終了。なんとか日没には間に合いました。そんなわけで今年も無事に収穫を終えました、高島和子さんの無農薬・無施肥栽培のヒノヒカリです。

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だいぶコンバインの操作に慣れたとは言え、歪な形の田んぼの刈り取りに雅之さんも四苦八苦のご様子。
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なんか普通に藁を食っているお孫さん。「やっぱばーちゃんの藁は美味いな」と言わんばかりにムシャムシャ食べている。
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稲刈りを終えたじいちゃんと2ショット。お孫さん、まだ稲藁食べてるんですけど反芻してるんですかね。

Summer 夏
1枚の田んぼに植えられた数種の品種が違いを見せ始めるこの季節。
高島さんは1枚の田んぼにササニシキ+香り米+緑米や、亀の尾+紅米+赤米など違う種類の品種を作付けするのですが、田植え直後はどれがどの品種なのかはほとんど判別できません。しかし夏頃になると、亀の尾は真っ先に穂を出し、赤米は穂が赤く色づき始め、香り米は背がやたら高くなってきたりと、それぞれの品種の特性が現れ始めます。
8月30日に行われた九州環境保全型農業技術研究会(通称:環保研)の現地見学会では会員のみなさんが高島さんの田んぼを訪れました。古代米を始め、亀の尾、山田錦などの珍しい品種を無農薬・無施肥栽培で作る生産者は環保研内でも珍しく、みなさん興味津々に圃場を見学し、高島さんにあれこれご質問されておられました。


Weeding 除草
除草機、田押し車、手除草。様々な方法で行う高島さんの除草作業。
毎年恒例、除草の季節がやってまいりました。実に20数年もの間、お米の無農薬栽培を行っている高島さんですが、そのキャリアをもってしても水田にはびこる雑草を押さえることは容易ではありません。毎年毎年試行錯誤を繰り返し、様々な除草方法を実施しております。
まず田植え数日後に行う除草機掛け。2条の動力除草機で条間を除草していきます。動力除草機は回転と前進はエンジンが行いますが、Uターンは機械を持ち上げて行う必要があるため、見た目以上にキツい作業です。
お次は田押し車。ガンヅメとも呼ばれる手押しの除草機で、動力除草機では行えなかった株間の除草を行います。手押しですからもちろん腕がパンパンになるほど力が要りますし、押しつつも大きな雑草を見つけたらその都度手で引っこ抜いていきますので、実に大変な作業。この作業の次の日に高島さんちに訪れると、元気印の高島さんもさすがにこの世の終わりかのような、死にそうな顔をしておられました。
しかしもっともキツいのが手除草です。腰を曲げて一本一本根気よく草を抜いていきます。昔は腰が90度に曲がったおばあちゃんをよく見かけましたが、そりゃこういう作業をずっとやってれば腰も曲がって元に戻らなくなるってもんです。その上、梅雨明けからの阿蘇は猛烈な暑さ。高島さん、あんまり頑張りすぎないでくださいよ。

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まずは除草機掛け。2条の動力除草機でガンガン除草していく。この除草機だけでは株間は除草できない。
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今年は株間を28cmで植えたので、株間は田押し車で除草する。途中、ちょいちょい手除草して大きな草を抜く。
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最後の除草はやっぱり「手」。最もキツい除草方法であるが、最も確実に草を根まで抜いていく。

Planting 田植え
黒米、亀の尾などを田植え。苗の出来は「最高!」だそうです。
5月22日。今日は黒米と亀の尾の田植えを行います。高島さん、今年の苗の出来はどんな感じですか?「それがね、これまでの稲作で一番いいかも!」確かに草丈も高く、かと言って徒長しておらず、これはいい苗。昨年の日照不足とは違って今年の天候はまずまずでしたし、薄まきの実施やラブシートを剥がすタイミングなど、いろいろな工夫が功を奏したようですね。
まずは一番上の田んぼに黒米を田植え。狭い田んぼなので5条の田植え機を何度も切り返しながら田植えします。お次は亀の尾ですが、ここは旦那さんの高島雅之さんが田植え機に乗り、高島さんは田植え機で田植えできない田の端っこの手植えを行います。
途中、高島さんとこで農業研修を行っている岡田さんと、久木野で今年から米作りを行う緒方睦美さんが研修がてら田植え機での田植えに挑戦。高島さんに「ゆーっくり、向こうの目印を見ながらね。後ろ見たらラインが歪むから見ちゃダメよ」といったアドバイスを受けながら、いざ挑戦。まっすぐ植え、端までいったらバックしてUターンし、次のラインを植えながら戻ってきます。おっ、岡田さんも緒方さんも全くの初めての割りにはまっすぐ綺麗に植えることができてますね。
ヒノヒカリや赤米、香り米、紅米、緑米の田植えはまた後日。全ての品種の田植えが終わったら、次は除草作業に移ります。


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まずは黒米から。中間山地の南阿蘇村は狭い田んぼが多く、田植え機を何度も切り替えさなければならない。
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高島雅之さんが岡田さんと緒方さんに田植え機の操作をレクチャー。もちろん二人とも、すごく不安気。
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しかし操縦してみると二人ともなかなかどうして割と真っ直ぐに植えることができた。私より上手かも。

Seed 種まき
温湯消毒に薄まきに苗代育苗。自然の力を引き出す高島さんの苗作り。
今年度も高島さんの米作りが始まりました。4月。60度のお湯に10分浸して種籾を殺菌する「温湯消毒」を行った種籾を、同じ「喜多いきいきくらぶ(酒米を無農薬栽培で作る生産会)」に所属する入請桝さんからお借りした播種機で種まきを行います。この播種機は種籾を縦に筋まきすることにより「籾の薄まき」ができる優れもの。苗箱一箱に使用する籾の量が少ないと、籾同士での栄養の奪い合いが少なくなるため、その分一株一株の苗がたくましく成長するのです。
種まきが終わった苗箱はすぐに苗代に移動。平らに均した水田に苗箱を上から体重をかけてしっかりと押し付けながら並べていきます。この時苗箱と土の間に隙間があると根が土に届かず、生育が悪くなってしまうのですね。設置が終わったら苗箱の表面に「もみ殻燻炭」を散布します。もみ殻燻炭はもみ殻を燻して作った炭ですのでこれ自体に栄養分は全くないのですが、黒いので保温効果があり、また炭の力で水質を浄化する目的があります。燻炭を巻き終わったら、保温と保湿、さらに直射日光による枯れと鳥害を防止する目的のある「ラブシート」という不織布を設置し、作業は終了。
苗代での無加温の平置き出芽、さらに無施肥ですので、あとは自然任せの部分が多いのですが、それでも日々の水管理、ラブシートを剥がすタイミングなど人的要素は育苗に大きな影響を与えます。さぁ今年の苗の出来はどうなりますでしょうか。

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筋まきが種まき機で箱あたり100g以下で種まきを行う。撒いた種の上に土をかける”覆土”までしてくれるので楽ちん。
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苗箱は苗代にグイッと密着させながら設置する。苗代が乾燥しているときちんと密着しないので注意が必要。
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最後にラブシートをかけて終了。……なのだが、この日は風が強く、シートが強風に飛ばされ設置も一苦労。
生産情報
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生産者
高島和子
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生産地
熊本県南阿蘇村河陽
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品種
亀の尾、ササニシキ、イセヒカリ、ヒノヒカリ
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農薬の使用
なし
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肥料の使用
なし
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除草方法
機械除草、手除草
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種籾の消毒
温湯消毒を実施
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種籾の入手
自家採種
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栽培の履歴
稲刈り …
亀の尾 / 2015年9月14日
ササニシキ / 2015年9月22日
イセヒカリ / 2015年10月10日
ヒノヒカリ / 2015年10月20日