生産者
大森博
生産地
熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽
品種
ササニシキ、イセヒカリ
農薬の使用
使用なし
肥料の使用
使用なし
農薬不使用の年数
7年目
化学肥料不使用の年数
7年目
肥料不使用の年数
4年目
2017年5月8日、大森さんの苗代へやってきました。1.5葉ほどに成長した苗と、まだ不織布をかけて保温している苗が苗代に並べられております。今年はササニシキとイセヒカリ、それに酒米・山田錦を作付けするそうです。
昨年まではこの苗代の田んぼの近くにお住まいでしたが、熊本地震により家が半壊し取り壊しとなったため、現在は南阿蘇村内の別の地区へお引っ越しされております。
6月2日、田植えを行いました。今年もまずは苗代横の田んぼから田植えを始めます。
草丈10cmほどに成長した苗を苗代から直接田植え機に積み込み、そのまま自走して水を落とした田んぼにゆっくりと苗を植えていきます。昨年の地震で崩れた畦は復旧工事が追いつかずそのままとなっており、畦シートで水が漏れるのを防ぐだけの状態となっております。「道路の復旧もまだまだなので、個人の田んぼの復旧は何年後になるか分かりませんね」と大森さん。しかし現状、米作りをできるだけでも有り難い、と今年も田植えできることに感謝しておられました。
苗は手間を省くため苗代から直接積み込む
歪まないようにゆっくりまっすぐ植えていく
田植え直後の苗はまだ弱々しい
田植えが終わるとすぐに除草作業が始まる
10月初旬、ササニシキとイセヒカリの稲刈りを行いました。残念ながらその際には稲刈りに行けなかったので、代わりに10月23日に行った「山田錦」の稲刈りに行ってきました。
南阿蘇を流れる白川沿いにある田んぼへ着くと、すでに大森さんと藤原勝義さんが稲刈りの準備を行っておりました。ほどなくして北野悦之さんが到着し、トラックからコンバインを降ろし、すぐに稲刈りを始めます。前日まで10日ほど雨が降り続いた影響で多少田んぼはぬかるんでおりますが、コンバインの幅広いクローラーはぬかるみを物ともせず、しっかりと稲を刈り取っていきます。
この山田錦の稲刈りが終われば大森さんの今年の米作りもようやく終了となります。
白川沿いにある山田錦の田んぼ
コンバインに乗るのは北野悦之さん
隣りの田んぼは熊本地震で被災したまま
手刈りした稲をコンバインにかけて脱穀する
1989年、伊勢地方を襲った強い台風により伊勢神宮の神田で栽培していたコシヒカリは完全に倒伏しました。しかし、その中に2株だけ倒伏せずに直立していた株がありました。その株の籾を採取し、栽培したのが「イセヒカリ」です。
コシヒカリの突然変異種であるこの品種は、その発見の経緯からも分かる通り、倒伏に強いのが特徴です。稲は倒れると、当然倒れた下側の葉は影になり光合成ができなくなります。しかし、倒伏に強い=倒れないということは、全方向から光合成をきちんと行うことができるので登熟が進み、美味しいお米ができるのです。
また、イセヒカリは硬質米であり、コシヒカリ系のお米の割にはベチャベチャせずにしっかりとした歯ごたえがあります。品種特性としてたんぱく含量が低いこともあり、非常に良食味であることがイセヒカリの最大の特徴です。
その由来からイセヒカリは別名「神の米」とも言われており、伊勢神宮では現在でもイセヒカリを御神米として神様に奉納しております。