昨年まで阿蘇郡西原村の山中にある田んぼでお米を作っていた毛利秀幸さんですが、熊本地震により田んぼの斜面が崩れたり、水路が壊れるなどしたためにそれまでの田んぼではお米を作ることができなくなりました。そこで今回はそれまでの田んぼから4kmほど離れた場所にある、熊本県上益城郡益城町の田んぼを借りることになりました。
益城町といえば熊本地震において最も被害が大きかった地域ですが、田んぼは建設物や道路に比べると、もちろん被害は大きいものの断層に近い田んぼ以外は壊滅的な被害までは受けておりません。毛利さんがお借りした田んぼも高低差にずれが生じているものの、作付けを行うことができました。
標高の高い阿蘇に対し益城町は熊本平野に位置するため、夏はかなり気温が上がります。それにも増して、今年の夏は近年稀に見る酷暑。毛利さんが除草作業を行っていた7月22日も気温は37度を超え、とてつもない暑さとなっております。
レーキのようなもので土をえぐって雑草を抜いている毛利さんですが、田んぼを見ると、そこまで雑草は多くありません。どうやらここにはジャンボタニシが生息しているようです。ジャンボタニシは一昔前までは植えた直後の苗を食い荒らす厄介者だと思われていたのですが、近年は水の深さをうまくコントロールすれば雑草だけを食べてくれることが分かり、除草に大いに役に立っております。
今年は地震で田んぼ内に高低差ができたために水の深さの調整が難しく、ジャンボタニシに食べられてしまった苗も多かったそうですが、それでもここまで雑草を食べてくれれば、御の字と言ってよいでしょう。
稲刈りは10月26日に行いました。午前11時。毛利さんが北野悦之さんとともに田んぼへ到着しました。今年度もコンバインのオペレーターは北野悦之さんにお願いしております。
阿蘇は朝から雨が降っていましたが、益城のほうは曇り模様。なんとか稲刈りはできそうです。コンバインを積載車から降ろしたら、すぐに稲刈りスタート。今回使用するコンバインは新品で購入後、稼働2日目という最新かつ真新しいコンバインですが、多少稲が濡れていても馬力があるので全くスピードを落とさずに最高速度で刈ることができます。
ライスセンターまで遠いので、籾は大きな袋に積んでいきます。袋に排出される籾を見て、北野悦之さんも「お、これはなかなか良い出来ばい」と評価。毛利さんも一度は地震で諦めかけた今年度の米作りですが、苦労が報われたようです。