生産者
北野初子さん
生産地
熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽
品種
ササニシキ
農薬の使用
使用なし
肥料の使用
使用なし
農薬不使用の年数
9-10年目
肥料不使用の年数
9-10年目
昨年2019年8月に急逝された北野鉄矢さんの田んぼですが、今年より北野鉄矢さんの奥様の北野初子さんが引き続き栽培されることになりました。
田植えや稲刈りなど要所要所で鉄矢さんのお手伝いをされておりましたがご自身で作るのは初めてなこともあり、当初は不安そうであったものの、息子の順一さんやご近所の農家さんを始め多くの人の協力もあり、無事に収穫を迎えることができました。
鉄矢さんが1枚の田んぼで無農薬栽培を始めたのが2010年、翌2011年には全ての田んぼを無農薬・無施肥栽培に変えたので無農薬栽培歴は今年で9〜10年目となります。
誰に聞いても「完璧な農家」と評された北野鉄矢さん。初子さんは「もちろんそこまでの米作りは私にはできない」と仰られつつも、「あの人が一生懸命作ってきた田んぼだけ、できる限りは私も頑張って作っていこうと思うとります」と語ってくれました。
2020年6月16日。北野初子さんの田んぼでは除草作業を行う親子の姿がありました。
息子の順一さんが除草機で除草作業を行い、初子さんは畦の草刈りを行っております。順一さんは通常除草を行う縦方向だけでなく、横方向からも除草機を入れているようですね。株間を広めに植える「疎植」で田植えを行ったので、このような除草機がけも可能なのです。
しかし北野鉄矢さんがこれまで完璧なほど草取りを行ってきたので雑草の種が落ちていないせいか、雑草の発生も少ないようですね。
「ところが田んぼの中のほうは草が結構あるとですたい」
順一さんによれば今シーズンは除草機も2回目だそうですが、やはり除草機だけでは雑草も抑えることは難しく、水深の浅いところにはコナギなどが生えてきているそうです。
「ばってんピシッと草取りせなんお父さんに怒られるばい」
初子さんは額の汗を拭いながらそう笑いました。米作りに関しては自分にも人にもとても厳しかった鉄矢さんでしたが、今年の米作りの様子も天国から見守っている、いや、見張っているのかもしれません。
横方向の株間に除草機をかける順一さん
除草機をかける前と後ではこの差
初子さんは畦の草刈りを行っていた
半分ほど終わって一息いれる
2020年9月18日、北野初子さんの田んぼの稲刈りを行いました。
鉄矢さんがご存命だった頃は長野訓之さんと共同購入したコンバインで鉄矢さんが自ら稲刈り作業を行っておりましたが、鉄矢さんの逝去後の昨年の稲刈り時より他の生産者と同様、北野悦之さんに稲刈りを行ってもらいます。
ますは機械での刈り取り作業の前に稲の手刈りを行います。コンバインが旋回する田んぼの入り口と四隅はあらかじめ稲を手刈りする必要があるのですが、鉄矢さんが稲刈りしていた頃から角刈り作業は毎年行っていた初子さん、手付きでザックザックと手刈りしていきます。
この日は夕方から雨予報だったので北野悦之さんも全速力で稲刈り。一枚目を刈り終えたらすぐに初子さんの家の目の前の田んぼに移動し、すぐに稲刈りを再開します。
「いや〜、5条刈りは早かなぁ〜」
稲刈りのスピードに驚く初子さん。というのも、鉄矢さんが使っていたコンバインは2条刈り、つまり一度に60cmの幅だけ刈っていくのですが、5条刈となると一度に刈り取るのは150cm。単純に稲刈りスピードが2.5倍ですから、その違いは歴然です。
これまでは山奥のせまい田んぼも作っていたのでそれに合わせて小型のコンバインを使用していたのですが、今年からは山奥の田んぼでの米作りはやめて比較的広い田んぼばかりになったので、大きなコンバインで稲刈りができるのです。
稲刈りも無事に終わり、初めての米作りで苦労の連続だった初子さんもようやく一息つくことができます。
すずめ避けの反射テープを外していく
北野悦之さんと藤原勝義さんが稲刈り