Asononaka Store
2015阿蘇のなかストア 27年度産商品ページ

稲刈りを行う笠野さんの親戚

Harvest 稲刈り

10月16日にササニシキを稲刈り。

10月16日にササニシキの稲刈りを行いました。……が、この日は藤原勝義さんと下村農園も稲刈りを行ったため、写真を撮りに行くのに大忙し。結局当店の稲刈りの様子はほとんど写真を撮れないばかりか、籾の運搬も宇都宮さんに全部任せきりになってしまいました。宇都宮さん、ごめんなさい、そしてありがとうございました。

収量はもちろん少なかったんですが、このササニシキの田んぼは枕(田んぼの両側)を植えていない&欠株が多かったが一切手植えをしていない&2反5畝ほどは1条置きに苗を植えた、条間60cmの「超疎植」でしたので、それを差し引けば反収は4俵ちょいほどでした。

ヒエとコナギは田植え前除草+深水+除草機でほぼ抑えられたのですが、クログワイが田んぼ全面に繁殖しましたので、冬に耕起でクログワイを抑えることができれば+1俵で反収は5俵、それにポット苗で+0.5俵、徹底した水管理で+0.5俵、圃場の徹底した均平化で+0.5俵といった感じで積み重ねていけば、いずれは無施肥栽培でも反収6〜7俵で安定してくるのではないかと思います。ここらでは除草剤と化学肥料を使った慣行栽培の田んぼで反収8俵ですので、無施肥栽培で6俵で安定すれば収量的にも収益的にも十分でしょう。農薬と肥料使わず、かつ手除草に入らずに反収6俵で安定させる。まずはそこが目標ですね。

条間60cmの「超疎植」は失敗!

ちなみに上記の1条置きに苗を植える「超疎植」ですが、現代農業などに「通常と同程度の収量が確保できる」と載っておりましたので、それならとチャレンジしてみた次第でございます。結果、除草剤を使わない無農薬栽培だと稲と稲の間の何も植えていない面積が多くなり、その部分に雑草が生えまくって逆に収量が下がってしまうことが分かりました。ということで今回のチャレンジは完全に失敗です。雑草が稲の成長を妨げるように、稲も一株あるだけで周囲の雑草をかなり抑えていたんですね。大変勉強になりました。……ということは逆に密植すればそれだけ雑草も抑えられることになるんですが、そうすると今度は稲同士で窒素分の取り合いになったり、風通しが悪くなってイモチが入ったりする恐れがありますので、やはり現段階では30cm×30cmの普通の疎植が良さそうです。

今年は失敗した超疎植ですが、繁殖した雑草は主にクログワイでしたので、これは冬の耕起でかなり減らすことができそうです。そうすると、もしかしたら無農薬栽培でも超疎植でそれなりの収量を取れるかもしれませんね。それに条間60cmの稲はとても風通しがよく、すし詰め状態で穂をつけている田んぼの稲よりも健康そうなんですよね。実際、分けつ数も多く、イモチも少なかったですし。というわけでめげずにまた再チャレンジしたいと思います。でも来年ポット苗だから1条置きに植えられないかも。植えた後に田押し車で稲を除草するかな?

稲刈り中の当店のササニシキ

10月22日に亀の尾を稲刈り。

さて、亀の尾。昨年高島和子さんが作ったところ食べた人がみんな美味しい美味しい言うもんで、今年度は当店も高島さんに種籾を分けてもらい栽培いたしました。

栽培にあたり、事前に高島さんに「中干しせんと倒れるよ〜」とご忠告いただいておりましたので、夏にガンガン中干ししました。しかしやはりしっかり倒伏。昔の品種はどうも本能的に子孫を残そうとするようで、「旭」はちょっと強風が吹くと籾が飛んでしまうほど脱粒性が高く(1本の穂を握りしめるとコシヒカリは平均1粒取れる(脱粒する)のですが、旭はなんと平均14粒も取れるそうです。データはこちら)、これは籾を地面に落とすことにより子孫を残そうとしてるのでしょうね。

対してこの亀の尾は倒伏、つまり地面に倒れることによって籾を土に落とし子孫を残そうとするタイプのようです。出穂期くらいには分けつ数もしっかりとあり茎も太めで「これ絶対倒れないでしょ」ってくらい綺麗な立ち姿だったんですが、稲刈りが近づくとある日突然申し合わせたようにバタッと寝てしまいました。来年は中干しは早め、しかも2回くらいしないとダメですね。

しかし昔の品種を栽培するのは面白いですね。ヒノヒカリあたりは特に何をしなくてもそれなりに分けつしますし倒れませんけど、昔の品種を上手く作るには知恵を絞る必要があります。いつかはこのじゃじゃ馬を倒さずに栽培してやるぜ……!と固く誓った今年度の亀の尾の栽培でした。

ちなみにこの亀の尾の田んぼとヒノヒカリを栽培している田んぼは吉田清二さんという生産者が20年以上(平成初期からと言ってたから25年ほど)の長期に渡り無農薬栽培を行ってきたという、非常に素晴らしい田んぼです。九州環境保全型農業技術研究会の会合でお会いして話した際、「もう年なんで稲作の面積を縮小しよう」と思っていた吉田さんと「これからガンガン無農薬栽培の田んぼを増やしていくぜ!」という当店の思惑がガッツリと一致し、今年度より2haもお借りすることになりました。いや〜、こんなラッキーもあるんですね。

亀の尾を稲刈り中

11月11日にヒノヒカリを稲刈り。

毎年遅い当店のヒノヒカリの稲刈りですが、今年も遅いですよ。

11月11日。阿蘇のほとんどのお米の稲刈りが終わり、飼料用稲などの刈り取りも全て終了しているこの時期ですが、当店の稲はまだ青々としております。なーんで今年はこんなに枯れませんかね。枯れないってことは実も熟していないってことですから、当然未熟米が多くなるわけです。だからまだ刈りたくないんですが、もうこの時期ですと登熟も進まないですし霜が降ると胴割れ(急激な水分量の変化で米が割れる)が多くなりますから、もう……刈っちゃいますか!

というわけで今回も笠野ファームに頼み、稲刈り開始。朝9時に始めて夕方5時頃終了いたしました。一部の田んぼは山に近いので電柵を張ってイノシシ対策しておりましたが、それでもやはり何回か入っていたようで、イノシシの足跡が水田内にくっきりとついておりました。来年はもっと対策を強化せねば!

稲刈りした感じだとやはり青米と小粒な未熟米が多いですね。今年度の阿蘇地方はどこも登熟不良で未熟米が多く、慣行栽培の田んぼでも反6俵とかはザラだったようです。まぁ天候はどうにもできないですから諦めましょう。それに青米は色彩選別機で弾きますし、小粒な未熟米も選別過程で取り除きますので品質に影響はありませんしね。

ヒノヒカリの水田の雑草状況ですが、ヒエが数畝ほど生い茂っていた以外は概ね良好。ヒエとコナギの対策はある程度目処がついたので、これからはクログワイ対策として冬の耕起が鍵となりそうです。

このヒノヒカリの田んぼも全て今年から吉田清二さんよりお借りしたとこですので、無農薬栽培歴は20年以上の圃場となります。無施肥栽培は今年度が初めてということで1年目となります。

ヒノヒカリを稲刈り中

今年もいよいよ始まっちまいましたねぇ、
米作りが。

今年で4年目となる当店の米作り。思えば当店の稲作は草との戦いの歴史そのものでした。

一年目の古代米。右も左も分からずに行った無農薬・無施肥栽培の田んぼは一面ヒエに覆われ、来る日も来る日も除草に追われた一年でした。 ヒエぼーぼーの田んぼ チェーン除草の様子 上 / どれが稲かヒエか分からなくなった田んぼ。
下 / チェーン除草の様子。チェーン除草の使用はトロトロ層の形成が前提と知らなかったため、あまり効果はなかった。
二年目、ヒノヒカリと赤米。右と左くらいは理解したものの上と下は分からないような有様で、夏真っ盛りの時期に水のポンプが落雷で1週間故障した影響などでやはりヒエぼうぼうとなり、来る日も来る日も除草に追われた一年でした。 除草機をかける店長 早め早めに除草機をかけたものの、一週間水がこなかった影響で一面ヒエ畑に。 3年目、ヒノヒカリとコシヒカリとササニシキと森のくまさんと赤米。この辺でようやく私も「行き当たりばったりはダメなんだな」と学習し、いろいろと試行錯誤を繰り返して挑戦いたしました。結果、除草が上手くいったところとそうでないところがはっきり分かれ、上手くいかなかった田んぼはそれはもう見事なヒエ畑と化し、来る日も来る日も除草に追われた一年でした。 高く積み上げられたヒエ 田の中に積み上げられたヒエ。 ・・・・・・もう嫌だ!!除草は嫌だ!!機械除草はいいけど、手除草は嫌だ!!まぁちょっとはやるけど、一ヶ月丸々除草して腱鞘炎になるのはもう御免だ!!

というわけで、今年度、当店は米作りにおける目標をはっきりと定めました。それは「手除草に入らない米作り」です。これまでは「収穫量も多くしたい、けど除草はやりたくない」というスケベ根性により、収量アップのために水田の面積を増やしつつも結局は除草に手が回らず減収、という、どうしようもない事態に陥っておりました。 しかし!今年は収量はもうど〜〜でもいい!もう反3俵くらいでいい!そのかわり雑草を深水や除草機、その他諸々な手段できっちり押さえ込む手段を確立し、もう手除草には入らないぞ!!

苗代育苗中の苗。

Seedlings 育苗

その1。できるだけ大きな苗を育てる。

手除草に入らないための作業その一。それはできるだけ大きな苗を育てること。除草機というのは早くかければかけるほど効果があるんです。田植え後10日後よりも7日後、7日後よりも5日後。しかしできるだけ早く除草機をかけるためには、早く苗が活着、つまり苗が土の中に根を伸ばさなければいけません。苗が活着しないまま除草機をかけると苗が面白いほど抜けていきますからね、活着の早い苗=大きな苗の育苗が必要なのです。

大きな苗を育てる方法として籾の薄まき、そして苗代折衷育苗を行います。籾は一箱の下限と言われる40g/箱で撒き、すぐに苗代へ並べて保湿と直射日光&鳥害防止のためのラブシートをベタ掛けし、加温はせずに平置き出芽。これで40日ほど育苗しても苗の老化はおこらず、葉数の多い大きな苗を育てることができます。欠点はマット苗なので根が土の中に届かず、せいぜい4葉〜4.5葉までしか育苗できないこと、また、田植え時に根を切りながら植えるので活着が遅いことがあります。しかしこれらはポット苗に移行することによって解決する問題。来年はポット苗にするので今年はこれでOKです。緑化後、ラブシートはできるだけ早く剥がし(しかし阿蘇は霜が降るので剥がすタイミングが難しい)、苗がある程度伸びたら箱+1cmの水位を保ってプール育苗を開始。あとは田植えまでずっとそのままです。

    ラブシートをかけている苗代 ラブシートをはがした苗代

田植え前湛水中の水田

Before 田植え前

その2。田植え前に除草する。

これまでの経験、そして水稲の有機栽培に関するいろいろな文献を漁った結果、良い方法にたどり着きました。それが「田植え前除草」です。
「田植え前に除草できるわけねーじゃねーか。草抜きすぎて気でも触れたのかい」ハッハッハ。そうお思いにはなるのは無理もありませんな。稲を植えるからこそ除草が必要になる。ならば稲のない田植え前に行う除草は必要ないはず。しかし!これが大きな効果があったのだ!!


手順としましては、まず田植え45日前に荒起こしを行います。これを私はドライブハローで表層5cmのみ耕起しました。なぜ表層のみかと言いますと、雑草の種は田んぼの中に何十万粒と眠っており、その種のうち表層にある種だけが発芽してくるんですね。こちらの鳥取県内の水稲有機栽培における雑草発生実態を見ると、特にコナギの種なんて多いところでは1平方mあたり26万粒もあるそうです。しかしそのほとんどは地中に潜っているため発芽してこないのですが、これをロータリーなどで耕起しますと雑草の種が表層に上がってきてしまいます。そのため田植えができる程度だけ浅く起こして、なるべく雑草の種を表層に出さないようにします。目安としては前年度の稲株が転ぶくらい。稲株が見えなくなると深く起こしすぎです。 んで、なぜロータリーじゃなくハローで起こすのかと言いますと、つけかえるのが面倒くさいってのもあるんですが、一番の目的は「精神面」です。田んぼは深く起こせば起こすほどまるで畑のように綺麗な真っ黒い土ばかりとなり、とても気持ちがいいんですね。だからついつい深く起こしてしまう。しかしハローですと刃が小さいため、どんなに深く耕そうと下に下げても先にチェーンケースが当たっちゃうんで、せいぜい7cmくらいまでしか起こせないんです。だから「ついつい深く」がなくなります。また、ハローは一般的にロータリーより幅が長いので作業時間も短くなります。ハローで荒起こしなんて耐久性は大丈夫か、と思われるでしょうが、5cmしか起こさないのでそれほどパワーは入りません。むしろアイドリングよりちょい上げくらいの底回転でもしっかり起こせますので燃費も良いです。

話が長いでしょ。まだ続きますよ。さて、耕起が終わったら15日ほどそのまま乾土効果のために乾燥させ、田植え前30日に水を入れて代掻きを行います。この時も当然表層だけ代掻きです。代掻きが終わったらそのまま田植え前2日まで水を入れっぱなしにしておきます。この時水は切らさないようにします。 田植え前30日より湛水を開始する 田植え前30日より湛水を開始する 代掻きして稲を植えていない田んぼにずっと水を入れつづけ、やがて水温が15℃を超える時期になってくるとヒエが発芽してきます。そして水温が19℃を超える時期(阿蘇では5月下旬頃)になると今度はコナギが発芽してきます。ヒエとコナギの発芽を確認し、それでもずっと放っておくと、それはもうすんごい量のヒエとコナギが生えてきます。 湛水から30日経過した圃場。ヒエが大量に生えている 湛水から30日経過した圃場。ヒエが大量に生えている。 こちらの圃場にはコナギやクログワイがみっしりと生えてきた。 こちらの圃場にはコナギやクログワイがみっしりと生えてきた。 そして田植えの2日前、満を持して植え代を掻きます。これで本来は田植え後に発芽してくるはずだった表層のヒエとコナギの大部分を田植え前に除草できるわけです。結果的にこの方法は非常に効果がありました。後述する深水と組み合わせるとヒエは全く生えてこず、コナギも手除草に入るほどは生えてきませんでした。

除草機をかけておりまーす

After 田植え後

その3。田植え後は深水+早めの除草機がけ。

さて、田植え。マット苗でも薄まき+苗代育苗であればポット苗のような成苗とまではいかなくても無施肥で草丈20cmほどまでには育苗することができますので、田植え後すぐに10cm程度まで水を溜めることが可能です。 マット苗でも20cmまではいける マット苗でも20cmまではいける。第一鞘高が4cmくらいなのでやや徒長したか こちらは酒井さんのポット苗 こちらは酒井さんのポット苗。5葉、草丈25cm。ここまでくると苗というか、もはや稲。 田植え2日後くらいまでは活着をよくするために水深3cm程度にしますが、その後は最低7〜8cm以上、基本10cm以上、その後は成長に合わせてできるだけ水を深くしていきます。これまでの経験ですと水深が7〜8cmあればヒエは抑えられますが、レーザーレベラーでも使ってない限りはでどうしても圃場の均平差が5cm以上はありますので、やはり10cm以上の水深は必要です。

ちなみに、なぜ深水を行うとヒエが生えてこないのかといいますと、厳密に言うとヒエは生えてくるのですが、途中で死んでしまうのです。下の写真をご覧ください。5葉〜6くらいの苗の間に妙に1葉が長い草が生えてますでしょ。これがヒエです。 深水維持中のヒエの発育の様子 深水維持中のヒエの発育の様子 深水維持中のヒエの発育の様子。 なんでこんなにほっそりとしてるのかと言いますと、ヒエは水面に葉っぱを出して酸素を取り込もうとしているのですが、なにせ妙に水が深い。そこで本来であれば葉数を増やすことと根を伸ばすことにエネルギーを注ぐ時期なのですが、そのエネルギーを葉や茎を伸ばすことに費やし、なんとか水面に顔を出そうとしているのです。実際に引っこ抜いてみると葉と茎だけぴょーんと長く、根は全く発達しておりません。ですのでこのまま深水を維持しておけば、葉を水面に伸ばす前にエネルギーが尽きたり酸素不足により枯死したり、根が長い草丈を支えきれずに浮力に負けて浮いてしまったりして、これ以上成長できないのです。 根に成長に対し、茎と葉が徒長しすぎているヒエ 根に成長に対し、茎と葉が徒長しすぎているヒエ。
この根だと水深10cmの浮力に耐えられず抜けてしまう。
最初の除草機は田植え5日後に入ります。田植え5日後つったらちょっと早すぎるんでないかい?と思われるかもしれませんが、田植え2日前に植え代を掻いた場合、田植え5日後で代掻き後1週間経っているわけですが、この頃になるとまだ水面に顔も出していないし緑化もしていませんが、雑草たちは土の中で確実に、そして大量に発芽しております。発芽した雑草は時間が経つにつれ加速度的に成長していきますので、早めに除草機をかけて叩いておいたほうが良いわけです。実際に田植え5日後の田んぼには雑草など一本も見当たりませんが、それでも除草機をかけると、白い根を伸ばし始めたコナギが大量に浮いてきます。 緑化し始めたコナギ、まだ根しか伸ばしていないコナギ、黒い種子などが大量に浮いてくる 緑化し始めたコナギ、まだ根しか伸ばしていないコナギ、黒い種子などが大量に浮いてくる。 抜けたコナギは深水を維持し水面に浮かせておけばすぐに枯死する。 種子も深水を行っておけば発芽することはない。いずれも風に吹かれて田の端に溜まっていくのでレーキですくって畔にあげておく。 その後さらに5日後、5日後、10日後、10日後と、基本的に計5回除草機をかけました。
当店が使用している除草機は和同産業製の水田除草機。株間も完璧に除草してくれる優れもの。しかし実はある程度成長した草を練り込む能力はそれほど高くありません。早めに掛けることで雑草の成長を著しく抑制してくれるので、除草機と呼ぶよりも「抑草機」と呼ぶほうがしっくりくるかも。スクリュー部分のシャフトがワイヤー製のため耐久性が低く、土が硬い圃場で使用したりスクリューが畔や石で引っかかるとすぐにワイヤーがねじ切れるため注意が必要。 除草機を掛けている様子 除草機を掛けている様子

渋すぎる横顔の店長。

Result 結果

さて、実際に手除草には入らずに済んだのか。

手除草には入らないぞ、と固く決意して臨んだ今年度の米作り。
果たして本当に手除草には入らずに済んだのでしょうか。

結論から申しますと、
■ 手除草に入らざるを得なかった田んぼ … ×
■ 手除草には入らなかったが雑草は比較的多かった田んぼ … △
■ 手除草に入らず雑草を抑えることができた田んぼ … ◯

の3つに別れまして、結局手除草に入っちゃいました。

しかし、今年度の作付面積の約3ha(300a)の内訳で見れば、
■ 手除草に入らざるを得なかった田んぼ … 30a
■ 手除草には入らなかったが雑草は比較的多かった田んぼ … 90a
■ 手除草に入らず雑草を抑えることができた田んぼ … 180a
であり、概ね満足のいく結果となりました。

では、全ての圃場でほぼ同じ条件で雑草対策を行ったにも関わらず、なぜ雑草の発生に差が出てしまったのでしょう。検証してまいりたいと思います。




ヒエの場合

手除草に入った田んぼですが、そのほとんどがヒエの発生によるものでした。前述したようにヒエは10cmの深水で完全に抑えることができます。従って、ヒエの発生の原因は水管理の失敗によるものです。

稲と稲の間に生えたヒエ 稲と稲の間に生えたヒエ。 今年度よりお借りしているヒノヒカリの田んぼは自前のポンプを設置しておりますので、水を入れれば入れるほど農業用水代=電気代が発生いたします。田植え前後、まだ電気代がどのくらい掛かるか把握していなかった私は深水を維持するためにポンプを稼働させまくりジャブジャブと水を全開に入れておりました。すると次の月に電気代の請求がきたのですが、ひと月で13万円だったんですね。さすがにちょっと待て、と。こんなに水代払ってたら利益なんてなくなるぞ、と慌てふためいた私は、翌日よりさっそく水をケチりはじめました。そうしますと田んぼの低い部分は深水が維持されるのですが、高い部分は地面が露わになり、一気にヒエが発生したのです。ヒエの発生に気づき、慌てて再び水を全開に入れて深水を始めましたが、時すでに遅し。ヒエを深水で抑えることができるのは1葉までの時期ですね。2〜3葉になったら10cm維持しててもその後水面から顔を出し、ぐんぐん成長してきます。

ヒエの対策としましては田植え後2ヶ月間はとにかく深水を維持すべし、の一点だけですね。そのために水が漏れないように畔を高く塗ったり排水口を整備したり代掻きを丁寧に行ったりする必要があります。

今年、たった2〜3万円の電気代をケチったがために、30aの面積を10数日ほどかけて手除草(金額的損失は作業費に換算すれば10万円以上?ヒエによる減収分を加算すればそれ以上か)を行う羽目になりました。あの失敗さえなければ、手除草に入らずに済んだのに……。




コナギの場合

昨年まではびっしりとまるで絨毯のように生えに生えまくっていたコナギですが、今年はおおむね抑えることができました。もちろん生えるのは生えておりますが、1m四方に5株程度、最も多いところで10数株程度の発生であり、収量に影響するほどではありません。

コナギは無酸素(還元状態)で初めて発芽しますので、深水で抑えることはできませんのでそれ以外の方法での対策が必要となります。

今年度、コナギの発生を抑えることができたのは上記の「田植え前除草」、これが一番効果が大きかったと思います。下の写真は田植え30日前に代掻きを行い、そのまま湛水状態を維持しわざと雑草を発生させた田んぼの状態です。コナギと思われる幼草が全面に発生しておりますが、本来であればこやつらは田植え後に発生する雑草。これを田植え前にハローで全て除草できたのはとても効果があったようです。 田植え2日前、びっしりと生えるコナギ。田んぼ全面こんな感じ 田植え2日前、びっしりと生えるコナギ。田んぼ全面こんな感じ。 水をたっぷり入れたまま植え代を掻く。もちろん表層のみ 水をたっぷり入れたまま植え代を掻く。もちろん表層のみ。 すると全部浮いてくるので水を抜いて排水口側に集めてレーキですくいとる。 すると全部浮いてくるので水を抜いて排水口側に集めてレーキですくいとる。 それでも田植え後に負けじと発生してくるのですが、発芽したばかりのコナギは根が張っていないため非常に弱く、除草機をかけて土をかき混ぜると浮力に耐えきれず、ほとんどが浮かんできます。ちょっと土を動かすだけで簡単に浮いてくるので、おそらくチェーン除草だけでも対策は可能であると思います。しかしこれには「トロトロ層が発達している」という前提が必要です。トロトロ層は土の表面にできる文字通りトロトロとした層であり、そのトロトロっぷりと言ったら指ですくってもなんの感触もないほど。きめ細やかなマシュマロホイップといった感じです。このトロトロ層が発達しているとコナギの種が埋もれて発芽できなくなったり、また、発芽したとしても柔らかすぎて根が張れないために除草機をかけると簡単に浮いてしまうのです。 このトロトロ層を発達させるにはいろいろな方法があるのですが、私は田植え前から1ヶ月湛水+ハローを超高速回転で発達を促しております。トロトロ層は米ぬかなど有機物を投与すると発達しやすいのですが、そのような施肥を行わずとも田植え前に1ヶ月湛水させるとしっかりとトロトロ層は形成されます。また、慣行栽培から切り替え間もなく、まだトロトロ層が形成されにくい田んぼにおいても、ハローをPTO4、かつ超低速で表面のみを掻くことにより、細かい土のみが表面に集まり、「疑似トロトロ層」を作りだすことができます。稲刈り前のコナギ 稲刈り前のコナギ。除草機をUターンする際に発生する
除草することができないわずかに部分にのみ、この程度繁殖した。
前年度に大量発生したために1m四方に数万株はコナギの種が存在しているであろう我が水田において、結果、数株程度の発生に抑えることができましたので、コナギ対策はこれでひと段落したかと思います。




クログワイの場合

今年はこいつにやられたあぁぁぁぁ!!!!!!なんせ前年度までは気にするほど発生していなかったもんですから、全くのノーチェックでして、ヒエとコナギを徹底的にマークしていたら脇から飛び出てきたクログワイにゴールを決められた、って感じでしたね。どういう感じだ。いえ、噂には聞いていたんですよ。「クログワイは年々増えるぞ」って。しかし2年目でこんなに増えるなんて予想外でした。大量発生したクログワイ 大量発生したクログワイ(葉の先端に種子がついているのはホタルイ)。
これだけ繁殖すると窒素吸われて収量は低下する。
クログワイはヒエ、コナギと違って地表ではなく、地下から発生してきます。その深度、5cm〜15cm。酷いやつは地下30cmから発生して表に出てくるようです。従って深水は効かず、表面数cmのみに効果のある除草機も効果が出づらいのですね。しかもこいつ、発生が遅いんですよ。田植え30日ほどで除草機をかけ終わった頃にようやく顔を出し始めるんです。で、仕方ないからもっかい除草機かけるかぁ、と重い腰をあげて除草機をかけるのですが、先っぽだけかき回しても地下の根茎には届かないため、結局いつのまにかびっしりと繁殖しているのです。今年はヒエとコナギの対策は概ね成功でしたが、クログワイにしてやられました。

しかし思い出してくださいよ。当店は今年度、除草に入らず雑草を抑えることができた田んぼが180aもあったのですよ。つまりそこにはクログワイは発生していないのですよ。それには理由があったのですよ。 抑草が成功した圃場の様子 抑草が成功した圃場の様子。手除草に入らずともヒエ、コナギ、クログワイなどの宿敵雑草を抑えることができた。稲刈り前になると写真のような小さな草が生えてくるが影響はもちろん一切なし。 クログワイが発生しなかった田んぼ(ヒノヒカリと亀の尾を栽培)は吉田さんという方から今年度よりお借りした田んぼ。実に20数年も無農薬でお米を栽培されてきた素晴らしい田んぼです。こんな田んぼ借りれてラッキーですね。
さて、そんな吉田さんの田んぼですが、お借りする際、「うちの田んぼはコナギでもヒエでもセリでもウリでもクログワイでもホタルイでもカヤツリグサでもなんでも生える"雑草の見本市"みたいな田んぼだから苦労するよ」とご忠告を受けておりました。しかし結局雑草はほとんど生えてきませんでした。ヒエは深水で抑え、コナギは田植え前除草と田植え後除草とトロトロ層によって抑えることができたので生えてこなかった理由はわかるのですが、なぜクログワイも生えてきません。それは吉田さんが「冬の耕起」を行ってくださっていたおかげでした。

クログワイは深水も効かず除草機も効きにくい厄介な草なのですが、「乾燥に弱い」という弱点があります。塊茎を乾燥や超低温にさらすと死滅してしまうのですね。しかし米作りの期間中は基本的にずっと田んぼに水を溜めておきますし、雨もしょちゅう降りますので乾燥されることはありません。そこで冬の耕起です。稲作期間外の11〜2月ごろのに田んぼを耕起させクログワイの塊茎を表にだして乾燥した空気にさらすことによりクログワイの塊茎は死滅し、翌年の稲作時には発生が激減します。吉田さんがこの冬の耕起を行ってくれていたおかげで今年度、田んぼでクログワイが発生しなかったのです。



統括!

というわけでこれからの雑草対策の統括です。

まず大前提として大きな苗の育苗。これは不可欠。ポット苗や土付き成苗が最も良いが、マット苗であれば薄まきと苗代またはプール育苗を行い、4葉以上の苗を生育する。2葉で15cmといった徒長した苗だと田植え5日後の除草機がけで根こそぎ抜けてしまい、結果除草機を入れる時期が遅くなり、雑草が繁殖するので注意。一応当店では来年度よりポット苗に移行する予定。

ヒエ。とにかく10cm以上の深水。それさえできりゃ何の問題もない。そのために冬に畔の整備、春に畦塗り、地面をできるだけ均平に均す。田植え前に丁寧な代掻きを行い水漏れを防止する。水代をケチらない。毎日の畔の見回りを怠らない。モグラやカニが畔に穴をあけて水漏れが発生し地表が露わになったらすぐヒエが生えるので注意。地表が露わになっての猶予時間はおそらく長くて48時間。洪水などで畔が壊れて深水状態が解消された場合、48時間以内に再び深水状態に移行できるよう急いで対策する。

コナギ。田植え前から最低でも30日以上湛水させ、コナギを発生させ、田植え前にハローで除草する。この時、水を落として土に練り込むよりも水を深めに入れたまま代掻きして浮力を利用して水に浮かせて除去するほうが効果が高い。土に練り込むとどうしてもハローの隙間からコナギが逃げていく。トロトロ層で種を埋没させつつ、発芽したら深水状態のまま除草機をかけて浮かせながら除草する。光要求度が高く、稲が繁殖し日陰が多くなってくると成長が止まる分、陰のない欠株の部分には思いっきり繁殖するので注意。植えつぎをまめに行うか、ポット方式で欠株を減らす。

クログワイ。冬に耕起を行い、地下に潜っている塊茎を空気に晒して乾燥させる。ロータリーよりも土をぐるりと反転させるプラウのほうが効果が高いようだ。もちろんロータリーでも可。その場合、土が粉々にならないよう回転数を低して土塊になるよう心がける。深いほうが効果があるが、いきなり20cmとか起こして心土破壊してザル田になったりするのもアレなんで、まずは10cm、それでも減らなければ15cmと、発生状況を観察しながら年々耕起する深さを深くしていったほうが良いかもしれない。

オモダカ。窒素吸収力は高く、ついでも背も高いので繁殖した場合の田んぼは非常に見た目は悪い(除草をサボっているように見える。いや、事実サボっているんだが)が、田んぼ全面に繁殖するようなやつでもないので、とりあえず対策なし。クログワイと同じく乾燥に弱いので冬の耕起でついでに減っていく予定。

ホタルイ。こいつもクログワイ対策の冬の耕起でついでに減っていく予定。

以上が当店の来年度の雑草対策です。ジャンボタニシがいる地域や田植えと同時に米ぬかを撒いて有機酸で雑草の発生を抑えるなどすればここまでする必要はないかもしれませんが、ジャンボタニシが生息していない阿蘇のような地域や、外部からの施肥は行わず米ぬかや大豆ペレットなどを利用しない生産者の方々にとって大きなヒントになれば幸いです。

また、田植え後の5日後、10日後、15日後、25日後、35日後と基本5回ずつ除草機をかけましたが、多分こんなにかけなくていいです。手除草に入らなかった田んぼは少ないところでは3回しかかけませんでしたから。除草機をかける最善の時期を見極め、除草機の回数も減らしていかなければいけません。

さぁ、来年は手除草しなくて済むよう、冬から頑張るぞーー!!

生産情報

  • 生産者

    Asononaka, Inc.

  • 生産地

    熊本県阿蘇市一の宮町中通、坂梨

  • 品種

    ササニシキ、ヒノヒカリ、亀の尾

  • 農薬の使用

    なし

  • 肥料の使用

    なし

  • 除草方法

    機械除草、手除草

  • 種籾の消毒

    温湯消毒を実施

  • 種籾の入手

    ササニシキ … 自家採種
    ヒノヒカリ … 自家採種
    亀の尾 ……… 高島さんからゲット

  • 栽培の履歴

    ササニシキ / 田植え6月 3日 稲刈り10月16日
    亀の尾   / 田植え6月13日 稲刈り10月22日
    ヒノヒカリ / 田植え6月24日

当店のお米のこだわり

無農薬栽培の米作りの様子

無農薬栽培米のみ取り扱い 当店は農薬や化学肥料を使用せず栽培したお米のみ取り扱いしております。万が一にも慣行栽培のお米が混ざることはありません。

当店のお米の生産者

信頼できる生産者たち 有機農産物は信頼性が第一。当店では阿蘇地域の生産者とだけ取り引きを行い、さらに栽培期間中は各生産者の圃場へ月に2回以上行き、栽培の様子を直に確認しております。

米袋

無料で脱酸素剤パック お米(5kg売り)には脱酸素剤を入れて無酸素状態にすることで、輸送中や保存時におけるお米の酸化や虫の発生による品質低下を防止しています。

精米

ご注文後に精米いたします お米の精米度合は玄米、白米、7分づき、5分づき、3分づきの5種類から無料にてご選択が可能です。

白米、玄米、分づき米

玄米、白米、分づきが選択可能 お米は精米した瞬間から品質低下が始まります。当店では精米をご注文後に行うことで、できるだけ新鮮なお米をお客様の元へお届けいたします。

新着情報

28年度産米

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