ASO北外輪ファームの
無農薬・無化学肥料栽培のお米。

Experience 稲刈り体験
10月11日、稲刈り体験。
阿蘇市狩尾の有志で立ち上げた、有機栽培米の生産組合である「ASO北外輪ファーム」。いよいよ稲刈りの季節がやってまいりました。…が!ただ稲刈りするだけでは面白くない。せっかくだから消費者に稲刈りを体験してもらおう、ということで今回、同じ熊本県の方々に稲刈りをしに来ていただきました。
本当は朝からやる予定だったのですが、この日の午前中は狩尾地区の公役(くやく、都会で言うと住人による町内清掃のようなもの。田舎の場合は草刈りや野焼き、水路の掃除など)があったため、午後1時から開始となりました。
さて、ほとんどの方が稲刈りをしたことないということなので、まずは鎌の使い方を教え、それから藁による稲の結束方法を簡単に教えます。鎌は稲株を掴んでザクッと一切りで切るのですが、最初はみなさんギコギコとノコギリのように鎌を往復させて切ろうとするんですね。それじゃ切れないし、何より危ない。しかしみなさん開始から30分ほど経った時にはすんなりと切れるようになっておりました。何事も一回でも経験すればすんなり覚えるんですよね。

ベテランの技が光る、足場の組み立て作業。
お次は掛け干しを行う足場を組み立てるのですが、ここでベテランの登場です。職人は荒井弘さんのお父さん。まずは足となる三本の木を地面にしっかりと差し込み、それからバランスよく三角になるように立てかけて……、ふむふむ、ここまでは4年前に当店が掛け干しをやった時と同じですね。それから上を稲藁で結び……って、稲藁で結ぶんですか!?普通ロープとか、針金とかでしっかり結ぶんですけど、お父さん、長い餅稲藁をなんかグルグルと木に巻きつけて最後にチョイっと隙間に差し込んでるだけなんです。こんなんでちゃんと固定できるんでしょうか。
「うちは昔からずっと掛け干ししよるばってん、いつもこん結び方ばい。でも一回も藁が解けたことはなか」すごい、確かにガッチリ締まってますもん。この技には私を始め、多くの参加者がビックリ。これはいい勉強になるぞと坂梨寿良さんや坂梨祐一さんらがその技を真似るべく、見よう見まねでやってみるんですが、全くダメ。やはり熟練が必要なようです。
全部で20人ほど人数がいたおかげで稲を集めて掛ける作業もあっという間に終了。やはり昔ながらの農業にはマンパワーが必要ですね。しかしこの掛け干しと阿蘇の風景の似合うこと似合うこと。また当店でもいつかやりたいですね、掛け干し。従業員が増えたらの話ですけど。

コンバインでの稲刈り体験後、
最後は牛舎で懇親会。
手刈りと掛け干しで昔の農作業を味わってもらいましたが、お次は5条刈りの大型コンバインのコクピットに乗り込んでもらい現代の農作業を体験してもらいます。子どもたちはもちろんのこと、大人のみなさんも大はしゃぎ。「うおお、バインダーの10倍、手刈りの100倍くらい早い!!」そうなんですよ。これを体験するとさっき行った手刈りと掛け干し作業がいかに大変な作業が相対的に理解できるというものです。
最後は牛舎でバーベキューをしながら懇親会です。組合長の鎌倉さんが「消費者との交流会は今回初めて行いましたもんで不慣れな点がありご迷惑をおかけいたしました」「これから毎年行っていきたいと思っておりますのでぜひ来年もご参加お願いいたします」とご挨拶。
それからバーベキューを行いながら先月稲刈りを行った新米のコシヒカリをみなさんに食べてもらいました。いやー、やっぱ消費者のみなさんとの交流会はいいもんですな。当店でも今後ぜひともやりたいですね。従業員が増えたらの話ですけど。


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稲刈り前。交流会に参加した方たちを前にASO北外輪ファームの概要を説明する鎌倉さんらメンバーたち。
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荒井さんのお父さんの稲藁だけで行う足場作り。藁をぐるぐるとねじるだけで強固な結束に。まさに職人芸。
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山と稲のコントラスト。会の名前の由来にもなっている阿蘇北外輪山に、掛け干しの風景はよく似合う。

Weeding 除草
夏。ASO北外輪ファームの雑草との戦い。
いよいよ除草作業の季節がやってきました。
水稲の無農薬栽培とは、すなわち、いかに雑草を抑えるか、除草できるか、でありますので、
これからの除草作業が栽培における”本丸”なのです。
鎌倉善光さんは田植え後から「何回かけたろか」と、本人も覚えてないほど除草機を掛けまくりました。概ね草は抑えられたものの、8月末になると除草機では除草できない株間からヒエの姿が見えてきます。稲から穂が出る「出穂期」は受粉を妨げる可能性があるため田んぼに入れません。鎌倉さんは9月になり出穂が完全に完了したのを確認後、鎌を持って田んぼに入り、残ったヒエを根元から切ってまわります。一株でも残すと種が落ちて来年発芽しますので、この「稲刈り直前の除草」も非常に大切なのです。
中川敬士さんの田んぼを訪れた時にはすでにおおむね除草は完了しておりました。除草機を何回か掛けただけだそうですが、草はあんまり生えてませんね。「ここの田んぼは昔からあまり草は生えんとよ」そういう田んぼありますよね。うちも3枚隣り合う田んぼがあるんですが、1枚だけは他2枚に比べて雑草があきらかに少ないですもん。「でも外から見ただけじゃ分からんけど中には結構生えてるから手取りに入らんといかんばい」
荒井弘さんは今年購入したばかりの3条の動力除草機で除草を行います。自宅から田んぼまでえっちらおっちらと除草機を抱えて運び、エンジンをかけて除草スタート。回転する爪で土を攪拌していきます。まだ雑草の姿はほとんど見えませんが、「上農は草を見ずして草をとる」の言葉如く、草が見えないうちから除草作業を行うことが、最も効率の良い除草方法なのです。
坂梨寿良さんもまずは数回動力除草機で条間の除草を行い、その後手取り除草で株間をくまなく除草します。今日は梅雨中の久しぶりの晴れ間。雨は雨でカッパを着ると蒸しますが、晴れは晴れで直射日光がたまらなく暑いです。お尻のポケットに入れたペットボトルの水で絶えず水分補給を行いながら黙々とヒエやコナギ、ホタルイを抜いていきます。熱中症には気をつけてくださいね。
坂梨祐一さんの田んぼに行くと、お母さんが手除草を行っておりました。「息子は仕事しながらだけん、なかなか除草できんけんね」祐一さんが仕事の前後や休みの日に除草機をかけて条間の除草を行い、株間はお母さんがちょこちょこ手除草しているようです。ツンツンとした稲の葉が刺さって痛いので、顔を手ぬぐいで覆って長袖を着ての炎天下の中での作業。とても暑そうです。

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ヒエを取る鎌倉さん、最初は鎌で根元から切っていたものの、途中から手で抜きはじめた。「このほうが早かばいね」
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抜いたヒエはお手伝いの方に渡して田んぼの外まで運んでもらう。数株ほど抜くと、すぐにご覧の通りの量に。
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北外輪山の山肌には鎌倉さんを含む狩尾地区の有志が草原を刈って作った、見事な扇が開いていた。横幅は70mある。

Planting 田植え
ASO北外輪ファームの5名がそれぞれ田植え。
阿蘇市狩尾地区の5名の農家よって結成された、無農薬栽培米の生産会である「ASO北外輪ファーム」。
結成から5回目の米作りが始まります。有機JAS認定を受けているため、書類の作成や栽培上の注意の確認などを行うために定期的に会合を開いておりますが、苗作り、田植えなどは5名がそれぞれに行います。
会長の鎌倉善光さんは5月17日に田植え。奥さんと娘さんが田植えのお手伝いに来ております。ちなみに鎌倉さんの奥さんは私の妻と同じ職場で働いております。鎌倉さんと私は昨年度から取り引きが始まりましたが、まぁウチと鎌倉さんちとはいろいろご縁があるようです。
中川敬士さんは最も早い5月14日に田植え。奥さんが苗運びのお手伝いです。3反ほどの田んぼを5条植えの田植え機でスイスイと田植え。除草のことを考えて真っ直ぐ丁寧に植えていきます。
荒井弘さんの田植えは鎌倉さんと同じ5月17日。自宅のすぐ近くの基盤整備された広い田んぼに田植えを行います。植え終えた苗箱はお母さんが田んぼ横のポンプから流れる地下水ですぐに掃除します。
坂梨寿良さんの田植えは5月25日。二人のおっちゃんにお手伝いしてもらいながら鎌倉さんの田んぼの隣の隣にある田んぼにヒノヒカリを作付けしました。プール育苗で作った苗は良い出来のようです。
坂梨祐一さんの田植えも5月17日。お母さんと奥さん、それに3人の子どもたちと一緒に田植えです。田植え機に乗りたがる子どもたちと、それが作業の邪魔で仕方がない祐一さん。子どもは大変です。

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まずは田植え機に苗箱をセット。苗箱の底で根同士がしっかりとの絡んでおり、非常に生育が良い。
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水が抜け切れてなかったので娘さんに目印を立ててもらいながらの田植え。後ろには阿蘇五岳が見える。
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田植え中、中川敬士さんとその奥さんが通りかかり、鎌倉さんの苗の出来を確認していた。
生産情報
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生産者
ASO北外輪ファーム ……
鎌倉善光、中川敬士、荒井弘、坂梨寿良、坂梨祐一 -
生産地
熊本県阿蘇市狩尾
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品種
コシヒカリ、ヒノヒカリ
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農薬の使用
なし
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肥料の使用
有機JAS認定牛堆肥(阿蘇産)
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除草方法
機械除草、手除草
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種籾の消毒
消毒なし
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種籾の入手
自家採種
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栽培の履歴
田植え ……
鎌倉善光 … 2015年5月17日
中川敬士 … 2015年5月14日
荒井弘 …… 2015年5月17日
坂梨寿良 … 2015年5月25日
坂梨祐一 … 2015年5月17日